今日の思ったこと
BFBCで階級が最高の陸軍元帥になった。
最近は狂ったようにこればっかりプレイしていた。なにか決定的に面白い要素があるわけじゃないんだけど、なんとなく続けてしまう。やはりFPSは本能に訴えるものがあるのだろうか。
BFBC自体も、オンライン限定なら結構楽しい分類のFPSであるが。逆にBFBCのシングルはマルチプレイの練習だと考えても酷い。特に敵味方のAIはどうしょうもない。
今回FPSのマルチプレイを初めてやり込んだと言えるほどプレイして分かったのは、FPSは技術ではなく知識と読みのゲームだということだ。少なくともBFBCはそうだと思う。
初めの頃はただ正面から射ち合っていただけだったが、マップを知り狙撃ポイントを知り武器の性能と各兵士別の戦い方を知ることで、確実にワンランク上の戦いをできるようになった自覚がある。正直、正面から射ち合ったところで自分の武器の得意なレンジでなければ勝てるかどうかは運でしかない。敵よりすばやく照準を合わせる技術も大切だが、それよりも、敵より先に姿を発見してこちらは発見されずに一方的に攻撃できる状況を作り出すほうが大切だ。
- [2008/07/12 23:12]
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マブラヴ(オルタネイティブ含む)
まず初めに、マブラヴは『マブラヴ』と『マブラヴ オルタネイティブ(以下オルタ)』は二つのパッケージに分けられているが、話としては繋がっている物語であり、出費は大きいが二つを最後までプレイすることオススメする。
順番は『マブラヴ』が最初で『オルタ』が次になる。『オルタ』が終わったあと、再び『マブラヴ』をプレイしてみるのもいい。『マブラヴ』単体では考えなかった感想が、『オルタ』をプレイしたことで新たに出てくるものもあるだろう。
それでは最初にマブラヴのストーリーから。
まずはエクストラ編。こちらは超王道学園アドベンチャーというジャンルに偽りなく、毎朝起しに来る幼馴染や許婚、メガネの委員長など王道をおさえたものになっている。騒がしくも平和な学園生活を過ごしながら、主人公は恋愛をしていく。
次にアンリミテッド編。主人公が今まで生活していた平和な世界とは全く違う世界で目覚めるところから物語は始まる。その世界とは、もしも主人公が平和に暮らしていた世界の歴史が役半世紀前から違っていたら、具体的には地球外生命体によって人類が滅亡の危機に晒されている世界となる。そこでは元の世界では学校だった場所が軍の基地となり、教師だった者は教官に、ヒロインたちは訓練兵となっている。
主人公は最初、戦争することが当たり前の世界を狂った世界と言って認めずに、元の世界に戻ることを目標として、一訓練兵としてヒロインたちと生活を始める。だが、戦争が当たり前の世界で育ったヒロインたちとの交流を重ねるうち、今主人公がいる世界の人類を救いたいという目標を新たに見つけることになる。
最後にオルタ編。アンリミテッド編の記憶と技術を持ったまま、もう一度主人公は最初に狂った世界で目覚めた日付と同じ日に目覚める。ループしたわけだ。
原因は分からない。ただ、前の世界で人類を救えなかった悔しい記憶が強く残っている。そして主人公は人類を救うという使命を、今の世界では初日から強く願う。
主人公は前の世界で一度経験したことを活かし、未来を変えようとする。最初のうちは一度経験して結果を知っているアドバンテージのおかげで、望みどおり未来は変わっていく。しかしその結果当然であるが、前の世界では経験したことのない事件などが起こるようになり、主人公は手探りでまた成長していくことになる。
では感想を。最初にエクストラ編。
メインヒロイン二人、サブヒロイン三人。メインヒロインのルートは最後の最後が少し違うのみで、実質一人分、というより二人で一つの話を作っている。アニメなどの受動的な媒体ならば良いが、能動的に話を『選択』できるゲームとして考えると良いとは言えない。
サブヒロインのルートは個別に話として独立していて、主人公がヒロインたちと仲良くなって喧嘩して互いに一皮剥けるのを見るのは楽しい。少し展開が似通っているのが気になる点だが、メインヒロインルートの丸々同じよりはマシだ。最初にヒロインたちが主人公を好きになる理由と主人公がヒロインたちを好きになる理由がうまく書かれていないのも残念。
次にアンリミテッド編
一応選択肢によってヒロインの個別エンディングが用意されているが基本は一本道。最後の最後に少し分岐する程度。
オルタをプレイした後なら、無理やりにでも分岐が必要なのは分かるのだが。それにしては中途半端すぎる。
個別ルートがアンリミテッド編にはないので、最後に選んだヒロインとの別れのシーンに重さがない。
全体的に面白い話ではあるが、『恋愛』という部分が弱い。
最後にオルタ編。
こちらも基本一本道。選択肢によって途中の会話が少し変わっても、エンディングには変化なし。
全体的に『燃え』なシチュエーションは多数用意されているが、『萌え』なシチュエーションは『燃え』と比べるとほとんどない。
オルタ編の話の流れは単純で、主人公がヘタレて、それを周りの頼れる先輩たちが助けて覚醒する〜の繰り返しだ。
自分は中二なので、あまりヘタレを見ているのは好きではない。燃える展開のギャップとしてヘタレが必要なのは分かるが、何度も繰り返されると、しだいにヘタレな部分はテキスト斜め読みになってしまう。
主人公が成長しきってしまうと、周りの頼れる先輩たちのありがたい言葉が聞けなくなってしまうので仕方ないのだけれど。しかし、途中から『まだお前には説教が足りないのか』という気分になってくる。せめて最後くらいは成長しきったカッコいい主人公が見たかった。
アンリミテッド編と同じく、全体の中で『恋愛』という部分が軽いというのも残念。
どんな状況だろうと無理やり恋愛しろとは言わない。しかし、主人公の全人類を救うという目的と同レベルの目的として愛というものが存在すると思うのだ。それなのに、軽くていいのだろうか。
エクストラ編で恋愛や平和の成分は十分だと考えているのかもしれない。狂った世界の対比として平和な世界は確かに成功している。サブヒロインたちも十分にキャラが立っている。ただ、メインヒロインルートが二人で一つであり、他のキャラと比べて弱い。
少しネタバレになるが、ヒロインたちが主人公のことを忘れてしまうという場面がある。そのとき自分はサブヒロインの一人が主人公を忘れた時凄く悲しかった。だが、メインヒロインが忘れる場面はそれほど悲しいとは思えなかったのだ。好みというものもあるだろうが。
まとめ
文句ばかりを書いている気もするが、それでもマブラヴをオススメできるのか、それともできないのかで別けるならオススメできる作品だと考える。
まず、燃える話としては最高レベルだ。燃えるシチュエーションまでの展開と演出は素晴らしい。
先輩たちのありがたい言葉も、とても考えさせられるものがある。戦争が当たり前の世界に住む人間の言葉だが、平和な日本で暮らしていてる人間にも通用する言葉ばかりだ。
これらの要素が、上で言った不満以上に素晴らしい。全年齢版も発売されているので、時間があればぜひプレイしていただきたい。
元気になれる、いい話です。
- [2008/06/27 16:41]
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今日の思ったこと
小説もチマチマと書きつつ、あんまり根を詰めるとよくないかと思い積んでたゲームを崩してみた。
で、久々にエロゲ(最果てのイマ)をプレイしたら、最初のほう楽しくなくてメチャクチャ苦痛でやめようかと思った。
けれどまあ、久々だしプレイしていけば楽しくなるだろうと我慢してプレイ。しばらくしてキャラの掛け合いが面白くなる。だけどそれ以外のところが、やっぱりクソつまらない。
なにがダメなんだろうかと思ったときに、まずBGMがダメだ。雰囲気は合ってるんだけど、聞けば聞くほどテンションが下がる。あと主人公が、何かネガティブ方面に悟っちゃってる感じで見ていてイライラする。
で、初めてエロゲを売るという行為をして、そのお金でマブラヴを購入。マブラヴ オルタネイティブが友人超オススメ作品らしいので、最終的にそれをプレイするまで行くつもり。
マブラヴは超王道学園アドベンチャーゲームというジャンルらしい。プレイすると、そう名乗るに相応しいほど王道な設定にストーリー。なのに楽しい。
ざわつく教室の表現に、福本伸行が使う『ざわ…』ってのはもう王道なんだろうか? 王道ですね。
最果てのイマをプレイしているときに、左手が無意識にFPSポジションになっていて、もう自分はエロゲを楽しめない人間になってしまったのだろうかと一瞬心配になっていたけど、マブラヴが楽しくてそんな心配は杞憂だったと分かり安心した。
でも面白いんだけど、今のところB級止まりかなと。
マブラブのヒロインたちは何かしら問題を抱えていて、3人ほど攻略した段階で大体後半に大きく喧嘩して仲直りするという似たような展開が続いている。
展開が似通っているのも致命的だけど、それは一旦置いといて。問題は主人公がヒロインを好きになる理由と、ヒロインが主人公を好きな理由。これがぽっかり抜けている気がするのだ。
ヒロインたちが今の性格になった理由や、そのために発生する問題を解決するプロセスなんかはしっかりしている。喧嘩をした後、ヒロインたちの問題を解決して、仲直りする過程の主人公はカッコいい。ヒロインが惚れるのも分かる。だが、気になるのは、そんな過程を踏む前から主人公はヒロインのことを好きになっていて、同じくヒロインも主人公のことを好きになっているところなのだ。
なんつうか、お前らいつの間にそんなに愛し合ってるの? と、置いてけぼりを食らってしまう。
そのほかの理由付けがしっかりしているからか、そこが余計目立つ。なんとか愛し合う理由までしっかり作ってくれたなら傑作になっていたかと思うと残念だ。
マリオカートwiiも最近やっと進めている。これも小説を書いている最中に発売したもんだから全然遊んでなかった。
今は150ccをプレイしているのだけれど、トップから最下位までの差が無すぎでやってられん。
ハッキリ言って、最終ラップをうまく走ったもん勝ちみたいなところがあってキツイ。最下位まで差がないもんだから、ちょっとしたことで順位を落とされる。トップで走っていて、最終コーナー曲がってゴールまで一秒くらいの距離からでも赤甲羅にでも当たったら軽く8位くらいまで落ちる。最後まで気が抜けないとか、そんなレベルじゃない。やってられん。
ゴール手前で赤甲羅に当たって、せめて2位に落ちるくらいならまだ許せるけど、なんなの8位って。
昔はこんな上から下までこんな団子じゃなかったと思うんだけどな。てかwi-fi対戦でギリギリの勝負はできるんだから、せめてオフラインくらい気持ちよく勝たせてほしい。
MGS4が凄くプレイしたい。
でもPS3は買うお金ないし。バトルフィールド:バットカンパニー早く出ろ。
- [2008/06/15 03:27]
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小さな神の恋物語17
任務完了報告
未来予知候補者の選別を完了。候補者は死の運命を回避。
未来予知の力は本物である。しかし現段階では力は弱く、五分程度の予知が可能であるだけで、実用的とはいえない。
候補者を発見時、同時に勢力アゲインに所属の魔術士荒木正我を発見。排除を試みるが、対象は逃亡。
荒木正我の目的は未来予知者の確保、または排除であると推察される。どのように候補者の情報を得たかは不明。
未来予知者はまだ力が弱く、護衛の必要あり。荒木の件から内通者の可能性を考え、荒木の情報源を特定できるまで護衛の任務は黒鉄真理のみが行うものとする。
以上
メールで送られてきた任務完了報告を眺めながら、男は考え込む。
この報告は矛盾していた。
報告の内容自体に矛盾はない。男が、この報告を手にすることが矛盾しているのだ。
フルムーン所属の魔術士は、任務完了の報告は原則として二重報告である。トップであるアメジストへの直接報告と、任務を行った現地の管理者に報告する。報告を受けた現地の管理者は一つ上の管理者、日本で言うなら市の管理者が県の管理者に報告するといった具合に順々に上げていき、最終的にアメジストに報告が二重に行く事になる。
こういう手順を踏む理由は、全て寝返りを防ぐためである。管理者としてのメンツを保つのと、情報の共有だけを考えれば、下から順々に報告を上げていくだけで事足りる。だがそれでは、最終的にアメジストに報告が上がりきる前に内容が改ざんされたり、そもそもアメジストまで報告が上がりきらない恐れがある。
それらを防ぐための二重報告なのだ。こうしておけば、報告の改ざんや揉み消しなどを行うことはほぼ防げる。たとえば報告の改ざんがあれば、アメジストの手元には改ざんの余地がない真の報告があるのだから、それを元にどの時点で報告の改ざんが行われたかが分かる。なので、まともな頭脳を持っていれば、そんな簡単に露見する悪事を行うことはしないのである。
男の眺める報告は、間に何人もの人間を通して上がってきたものである。しかし前記の理由から、今男が見ている報告はルーターが上げたもので間違いはないはずである。それはいい。問題はなぜ二重報告なのかだ。
男は勢力アゲインに通じる内通者である。そしてルーターは内通者の可能性を報告している。二重報告で。そう、ルーター自身がいう内通者に読まれる危険性を冒してだ。
二重報告は原則だが、絶対ではない。ならば、ルーターは内通者に読まれる危険を冒したのではなく、内通者にこの報告を読ませることを目的にしていると考えられる。
ルーターの目的は何か。この報告から伝えたいことは何か。
男は一つの結論に達する。この報告が伝えることは警告なのだと。
おそらくルーターは内通者が具体的に誰なのかは分かっていない。ただ、大体の目星はつけられる。だから、それら全員に報告という形で伝えたのだ。お前の悪事はお見通しだ、と。そういって、内通者がその役目を果たすことを、まず封じたのだ。
絶対に自分が内通者だと気付かれていない自身が、男にはあった。だが、こうやって警告を受けてまで今までどおりに動けるほど傲慢でもない。不安から動けなくなることを期待した警告であると見抜いても、だ。
しかし同時に、動かなければ確実に安全であると、候補者は今回も外れであったのだともと確信する。なぜなら候補者が本物であったなら、自分の存在など一発で看破されてしまうはずだからである。
あと四年、本物を見つけられなかったら、未来予知者は出現しなかった、と決定される予定であった。男は、きっとそうなるのだろうと考えながら、任務完了報告をアメジストに転送する。
私は報告を見て、未来予知者が確定してしまったことに悔しさを感じていた。そして、未来予知という力の凄さを、初めて正確に理解する。
この報告の文を考えたのはルーターではない。未来予知者だ。なぜならこの報告は彼女らしくない。この報告は裏の意味として警告を含んでいる。
血と戦いを好むルーターが警告などありえない。彼女なら、今回の場合だったら私の所へ直接来て報告と同時に『で、私の憂さ晴らしに付き合ってくれる内通者は誰なんだ?』とでも言って、次の任務を催促するところだ。
恐怖で身を固めさせ、わざわざ尻尾を掴みにくくする理由はルーターにはない。これで得をする人物が居たとすれば、未来予知者にほかならない。
私はルーターをよく知っている。だから彼女の行動を予想することはできるが、完璧に彼女を私の思惑通りに動かすことはできない。私はそのような魔術は扱えないし、どうしてもというなら力ずくになるが、殺せたとしても従わせるのは難しい。そんな彼女を未来予知者は従わせたのだ。
ルーターは、こと戦闘における認識と状況判断は素晴らしい。五分程度の未来予知なら、きっと彼女は打ち勝つだろう。未来予知者の力が弱いから護衛するなど嘘である。おそらくはもっと長期間、ルーターを屈服させるほどの力があるはずだ――
こうやって悔しさに震えることさえ、未来予知者は見通しているのかと思うと、私はもう何もすることができなかった。
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- [2008/05/23 23:52]
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小さな神の恋物語16
まるで自分の見た楽しい夢でも話すかのように、少女は並んで歩くルーターに今後の予定を話す。
「まずは部屋に行って死体を二個片付けるでしょ。血は出ないように壊してくれたから扱いやすいけど、やっぱり夏だし早めに捨てに行かないとね。発見されないか毎日予知するのは面倒だけど、とりあえず一旦近くの林にでも埋めておきましょう。すくなくとも今から二四時間は発見されないし、発見されそうになっても事前に掘り起こすか、そもそも発見されないように手配できるわ。他のやってほしいことが片付いてから、粉々に砕いて、食べやすいようにしてから改めて海にでも捨てましょう。次にお引越し。友達の猫が来れるように、ここからあまり離れてないんだけど、もう場所は決めてあるの。大きい庭があって猫がいっぱい呼べるんだ。駅も近くにあるし、私は気にしないんだけどお兄ちゃんが高校生とかになったらやっぱり近いほうがいいでしょ。転校することになるから、学校とかとかへの連絡や手続きは任せるわ。他の人になるのは得意でしょ? 急な話だからどうしてもお引越しに必要な手続きとかが色々と後回しになっちゃうけど、そんなに苦労はしないわ。指紋も顔も違っても、紙切れ一枚と印鑑さえあればどうにでもなるし。ゴミたちの両親はもう死んじゃっていないし、兄弟もいないから連絡取れなくて心肺するような関係の人間はいないのがラッキーよね。仕事場には博打好きってのが知られてるみたいだし、借金作って失踪したとか言っておけばいいかな。お兄ちゃんには適当に事故で死んだとか言っておけばいいわ。しばらくは元気がないだろうけど、美味しいもの食べて猫と遊んでれば忘れるでしょう。そうそう、実際に一緒に住む母親役は違う人を用意してるから貴方は心配しなくてもいいから。お兄ちゃんに食べてもらう料理は私が作るし、形式的な母親としてお洗濯とお掃除と雑用してもらう楽な仕事なんだけどね。アメジストに報告する内容も考えてあるから、暇になったらメールで送って」
ルーターは少女の横を歩きながら黙って話を聞いていた。少女はルーターがもし聞いていなくても気にしないといった具合に一方的に話しをしているようであるが。
少女が上機嫌で話をしているうちに、少女が住む部屋の前まで来る。
「さてと、まずは死体からだね」
そう言って、部屋のドアを少女は開ける。
「え?」
玄関に入った瞬間、少女は一瞬だけ戸惑う。予定にはない靴をそこに発見してしまったからだ。
王者のような絶対の自信に満ちていた少女から、それが一瞬だけ消える。本当に一瞬だけ、後悔するように額に手を当てうつむくと、ルーターに言う。
「……お兄ちゃんを、眠らせて」
明らかに苛立ちを含む声で、少女はルーターに命令する。既に自信は取り戻してある。
「りょーかい」
ルーターは少女の命令を聞いてはいたが、もうそれほど恐怖は感じてはいなかった。
命のやりとりになって勝てる気はしなかったが、少なくとも今ルーターと少女との間で、そのような状況にならないだろうということは理解していた。なぜなら少女はルーターに頼みたい仕事があるのだから。もしルーターが反発し、刃を向ければ、少女は容赦なくルーターを殺すだろう。しかし、素直に従っている間は、無意味に殺したりはしない。少女は無駄なことはしない。だからルーターを殺して新しい手駒を手に入れるというような無駄なことはしないはずである。
そしてなにより、少女は子供だった。兄と猫が大好きな子供なのだ。そんな少女の小さな望みに、今のところルーターが否定するような望みはなかった。
なぜ、両親を殺した、推測するに荒木が殺すのを見殺しにしたのかだけが分からなかったが、それを追求するつもりはなかった。善悪の問題として、ルーターにそれを語る資格はない。
短い廊下を抜けると、兄と思われる少年が居た。
二個の死体は少女の言ったとおり、血は一滴も流していない。ルーターがいつも見る死体の中では、状態は綺麗なほうだった。男女共に、死因は頸椎骨折か延髄損傷のどちらか、または両方だろう。男は首以外にも片腕がありえない方向に曲がっているが、その程度では人間は死なない。
そしてその二個の死体をじっと見つめるように少年が立っている。
呆然と、ルーターの存在にもまったく気付かず、涙も流さずに立ち尽くしている。
既に少年には意識などないのではとも思ったが、それでも一応と、ルーターは少年の意識を落とす。
その後、少年を一旦ルーターが泊るホテルに連れて行き、未希は呼び出した母親役である水川輪子に監視させると、ルーターと一緒に必要な手続きを済ませていく。
「隠しても仕方ないから言うけど、最近お兄ちゃんだけが読めなくなってきたと解ってたんだ。だからお兄ちゃんがあの時いつもより早く公園から帰ってきてたのは計算外だった。でも今ならお兄ちゃんは眠ってるし、この状況なら私の予知は完璧よ」
ほとんどの手続きを済ませ、後は兄が目覚めを待つだけとなり、未希はベッドに寝転がりながらルーターに話しかける。隣の部屋で兄を監視している輪子からは、まだ目覚めたという報告はない。
「お兄ちゃんはちゃんと目を覚ますよね?」
未希の声には不安と、もし目が覚めなかったらときは覚悟しろよ、という二つの気持ちが込められていた。
「大丈夫だ、殺した感触はないよ。それに、そういうときのために母親役を輪子なんだろ」
「まあね」
輪子は魔術として再生を蘇生の領域まで極めた唯一の魔術士だ。二十四時間以内であるなら、片腕程度の欠損なら当然として、五割以上の肉体が残っていれば、それがたとえバラバラの肉片からだろうと一人の人間として完璧に蘇生することができる。
魔術として、再生とは非常に高度な魔術である。再生対象の深い理解と魔力を複雑に構築する能力。『認識』と『放出』の究極美と言ってもよい。自己の体や純物質からなる物限定でなら再生できる魔術士は何人かいるが、他者の体を再生できる魔術士は輪子しかいない。
「輪子の再生が不安なら、適当な人間ぶった切って再生させるところ見せてやってもいいぞ。マジックだとでも言っておけば大丈夫だろうし。あれは見てて本当に凄いからな」
「あはは。そんなことしなくても解ってるわよ」
未希は既に予知した会話のはずなのに、それでも笑ってしまう。
「貴方のそういうところ好きよ」
「私は嫌いだよ、あんたのそういうニヤニヤとした笑顔は」
「ふふ、まあいいけどね」
一旦そこで会話を切ると、未希はゴロゴロとベッドを転がり、家から持ってきた自分用の小さなバックからメモを一枚取り出す。既にメモには何か書かれてある。
「暇だし、時間的にも丁度いいから、今任務完了報告をメールで送っちゃおう」
未希はメモをルーターに手渡す。メモには綺麗な字で、しかし女の子らしいかわいい字で、ルーターに任務完了報告としてメールで送ってほしい内容が書かれている。ルーターはそれをパッと眺め、未希に感想を言う。
「自分で言うのもなんだが、長くて私っぽくないな」
ルーターの任務完了報告はいつも一行で、多くて三行で終わるような簡素なものである。『任務は無事完了。全ての対象の死亡を確認』という具合がほとんどだった。たまに予定外の獲物が釣れたら、それを書き足すくらいである。定型な書き方ができないわけではないのだが、ルーターは面倒からほとんどしたことがなかった。
「型にはまらない感じは私っぽいが。あと、これ矛盾してるぞ?」
「いいのよ。それを見た人間がどう反応するかが問題で、辻褄があってるかなんてのは問題じゃないもの」
ルーターの嫌いな、ニヤニヤとした笑顔を再び浮かべながら、未希が答える。
「……ふん、まあいい。それより、内通者が誰だか分かってるんじゃないか?」
「わかってるわよ、でも教えない。だって貴方に教えても私にいいことないもん。知りたい? まあ、いずれ教えるかものね」
「はいはい、そうですか」
教えない理由が単に遊ばれてるからのような気がして、ルーターはそれ以上聞くのはやめた。
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- [2008/05/23 23:45]
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